自分自身のほかに誰も信じない私は
まだ誰からも裏切られたことがありません
+ +
手順を間違えてしまった組み木細工は
初めからやりなおすしかないけれど
噛み合わなくなった歯車を元に戻すには
一旦壊すしかないのだろうか
+ +
希望への階(きざはし)があるなら
絶望への足掛かりがあってもいい
+ +
リアルとヴァーチャルってのはね
頭の中では どれほどの違いもないんだよ
あんたの言うリアルは ヴァーチャルでしかないし
あんたの言うヴァーチャルは リアルとどこも変わらない
線の引き方が幼いんだよ
大人になるってのは そういうことじゃない
+ 深淵 +
沈む 沈む 沈む
どこまでも どこまでも
浸かっていたぬるま湯は たゆたう分には心地良い
底の見えない恐怖さえ 退屈しのぎの香辛料
沈む 沈む 沈む
どこまでも沈む
もがいた手足が重たくなって 不意に息までできなくなって
どっちが上かも解らない どうすればいいのかも解らない
沈む沈む沈む どこまでも沈んでいく
背筋の凍るような恐怖と やってしまった絶望感
絶対に戻れない確信と 終わることができる安堵感
沈む 沈む 沈む
あぁ−− どこまでも沈んでいく
+ <今日の短歌> +
偶然に 隣に座ったあの人は 誕生日まで なぜか同じで
思いつき 飛ばしたメール 久方に 幸せそうで なんか嬉しい
擦れ違う 言葉と心 もどかしく ただ抱きしめて しまいたい夜
+ +
悪酔いしてるだろ?
+ <今日の短歌> +
色気より 食い気が優る人もいる 馬より肥ゆる 秋の空かな
ペナントを 掴み取りたる 原・巨人 兵(つわもの)たちに 一時の宴(ゆめ)
独り言が 増えたと僕に言うけれど もっと増えてる 君のため息
あと少し休んだら きっと立てるから もうしばらくは そっとしといて
+ 逢 瀬 +
遠き星より馳せ来る 淡く輝く光線が
瞬くほどのつかの間に 脳裏を駆けるうたかたの
夢と知りつつとつおいつ 想い巡りしぬばたまの
闇に隠れてひそひそと 声殺しつ密(みそ)か事
かなわぬ恋と知りつつも ただひたすらに守り来ぬ
人目を避けしその理由は 言うに言われぬ涙雨
枕を濡らすその女(ひと)の 艶を纏いし黒髪を
優しく愛でる左手の 鈍く輝く名無し指
この瞬間が永遠に 続くことなぞなかりしを
知っていつつも宵月に 儚く掛けた願い事
+ +
見返りを期待しないほど 無欲じゃないけどね
損得だけで 動いてるわけでもないんだよ
+ Masquerade +
どんなに魔法が華麗でも それは本物じゃないでしょ?
あなたの「現」を見せてよ もう「幻」はうんざりよ
どんなに手品が上手でも それはただのshowでしょ?
あなたの「実」を見せてよ もう「術」はたくさんよ
「幻術」にはもう飽きたの イミテーションはいらないの
「現実」しか欲しくないの マガイモノはもう必要ないの
あなたはいつも ただの見せかけね
+ 「観客」から一言 +
主催者の線の引き方をうんぬんする前に
参加する資格がないことに気付けよ
+ +
別にそれが あなたの責任でないことは 解ります
あなたという人格を 創った環境に 問題があったのでしょう
それでも 環境に文句を言っても はじまらないので
反省さえない あなたを責めなきゃ しょうがないじゃない
+ +
近づいて来るときと 去って逝くときの跫音が違う
心のドップラー効果
+ +
度胸でもなければ意地でもないよ
それは無知です
+ 双 月 +
夜風が引きちぎるように 雲を運んでいく
雲間から覗く真円の月は 冷たく優しく湖水を照らす
どこまでも透き通ったこの水は あなたが流した涙の色で
天を映して瞬く水面には もう1つの月が輝いている
浅瀬に遊べば 歌声が聞こえる
心地よい声音に惹き込まれてしまう
深く沈み込めば 浮かび上がれない
心地よい眠りに引き込まれてしまう
闇に輝く 2つの月
すくい取った手のひらから 1つこぼれ落ちた
+ +
僕の知ってることをぜんぶ教えたら
オンナゴコロの秘密を教えてくれるかい?