孤独の愉悦を 忘れちまったってのかい?
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何を忘れたわけでもない 何も失っていない
何を手にしたわけでもない 何も掴んじゃいない
変化のない日常に埋没する その気安さに
研ぎ澄ましていたはずの 切っ先が錆付いて
甘えられる相手にもたれかかる その気楽さに
張り詰めていたはずの 緊張の糸がたわんで
変質していく色に気が付かなかったのか
零れ落ちてゆく砂に目が行かなかったのか
あなたが羽を休める場所で あったはずなのに
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知っているってことは 解っているってことじゃない
+ <今日の短歌> +
おもいおく 言の葉なくて ついに行く 道は迷わじ なるにまかせて
―黒田如水―
ぐるぐると おなじ処を 廻りつつ 螺旋のように 上に昇らむ
初春の 優しき風が 吹きぬけて 待ち人来たる 白き箱庭
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街灯に引き寄せられる蛾のように
人が群れ集まってくる午前2時
愛想笑いの意味と吸殻との相関関係は
無神経な沈黙と騒音のぬくもりに身を沈めて考えて
ときおりフラッシュバックする別の人の笑顔と
微かにもれるため息には繋がりはないけれど
螺旋のようにぐるぐると同じ処を廻り続けることに
すこしじゃない疲れを感じている雰囲気くらいは感じてよ
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絶望するには 幼すぎ
希望を持つには 老いすぎた