「美しさ」の定義が 「ひたむきに向上しようとする姿」ならば
「歩みを止める」ということが 「老いる」ということである
「老い」に「美しさ」を見出そうとするならば
「侘び」と「寂び」を理解するしかない
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悲しみと苦しみと共にあった安らぎは
悲しみと苦しみが去ると共に消え去った
巨大な空虚と共にあるのは 無為の時間
いま鏡に映るのは ひどく虚ろな笑顔
求め続けていたものを 得たというべきかどうか?
忘れる時間が長くなっていくことを 悲しむべきかどうか?
+ <今日の短歌> +
ほろ酔いの 気分を覚ます 告白に 凍てつく月と 凍りつく指
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言葉の刃が その胸を貫くたびに 思い知らされる
傷つけるために 出会ったわけじゃない
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言葉が必要のないときがある ただ強く抱きしめよう
言葉が邪魔になるときがある ただ強く口づけよう
言葉で伝えられないものがある ただ瞳を見つめよう
言葉にならない想いがある ただ孤独を噛みしめよう
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大好きな人の心を傷つけることと
大好きな人に自分の心の痛みを知らせることとは
どっちがより残酷かを考える
逃げるのが一番楽だという結論は ひとまず横に置く
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つないだ手から 聞こえてくる冬
+ <今日の短歌> +
埒もない 愚痴と泣き言繰り返す 「弱さ」見つめる 電子の鏡
座り込み あくびをしてる 人並みに 身につまされる 破壊衝動
北風に 顎を向けつつ 立ち尽くす 伸びる背筋と 握る拳と
邪魔されて 虐げられていたからこそ 圧力のように 高まる想い
風吹けど 波ひとつなき水面から 窺い知れぬ 水底(みなぞこ)の青