コ ト の ハ




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才能は常に 孤独のうちに成る


才能のなんたるかを知らぬ者は常に 他者の同意を求め

それを知る者は常に 黙して語らない

人の才能を十全に理解できる者は 常に少ないが

自らの才能を信じ続けられる者は もっと少ない

Nov.28 2002


+      +


フラッシュバックする記憶は 辛い過去ばかりで

憤りや蟠りの数よりも ため息のほうが多いけれど

苦しかった思い出は かけがえのない淡い詩情

砂城のようにはかなく 失われてゆく悲しみ

Nov.27 2002


+      +


生きるために 壮麗な思想はいらない

殺すために 高邁な理想はいらない

騙すことに 複雑な理由はいらない

欺くことに 難解な理屈はいらない

美辞麗句 自己欺瞞

嘲笑する 自己批判?

老病苦死 自己矛盾

失望する 自己否定?

深淵に憧憬し 浅薄な継続を

深遠に陶酔し 醜悪な隷属を

酔うために飲む自分がいる

寝るために酔う自分がいる

Nov.25 2002


+ <今日の短歌> +


原色の 葉の輝ける 万華鏡 闇夜に浮かぶ 幽玄の秋


水音が 響く曇ったガラス越し 外した指輪 消え行く吐息


忘却の淵に 飲まれて逝く身かな 無慈悲な神の それが慈悲なり


ピスタチオ 齧りて独り飲む酒は 琥珀に香る 芳醇な酔い

Nov.23 2002


+ <今日の短歌> +


久方に 嬉しき便り 夜もすがら 琥珀の香り 舌で嗅ぎつつ


肉を超え 普遍の世界を観じれば 世界は空と 海ばかりなり


晩秋に 忍び込みつつある冬の 足音を聞く 宵闇の風


神と言い 仏と呼んだ なにものか 世界を廻す 瞬きの間に






+ 振り返る +


諦めの悪さがとりえなんだ デットライン際に強くてね

たとえ転んだって タダじゃ起きやしない

たとえ歩伏前進だって 進んでることには違いないだろ?


足踏みさえも好きじゃないんだ 目指すところが遠くてね

地平の果て遥か ダテに歳取っちゃいない

たとえ昼寝してたって 時間は過ぎ去っていくだろ?


高みを目指すのは それが美しいと思うから

慢心した人間のように醜悪になりたくないから


進むことを選ぶのは それが向いてると思うから

怠惰な人間のように恥知らずになりたくないから


そのまま前のめりに死ねたなら こんな幸福な人生もないさね

Nov.13 2002


+ 審 判 +


偽りし者は進み出よ 欺きし者は手を挙げよ

良心に仮借なく 誠実なる者を踏みにじりし者よ

後悔の自責なく 善良なる者を責め苛む者よ

汝が謳いし暁の支配は終わりを告げた

汝が纏いし闇色の衣は引き剥がされた

ゼウスの雷が 貪りし者たちを打ち

ゲヘナの火が 欲深き者たちを焼くだろう


偽りし者は進み出よ 欺きし者は手を挙げよ

厚顔に恥もなく 沈黙を守り続ける者よ

白面に汗もなく 擬態を取り続ける者よ

汝の浅さに絶望せよ

汝の無知に絶望せよ

進み出ず 手を挙げざりしすべての者たちよ

汝らに訴追は認めない まずは裁かれよ

Nov.7 2002


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