コ ト の ハ




+  鬱 血  +


煙草が肺を汚し アルコールが喉を焼く

こうまでして酔いたいのかと 自分に問う


不満はある 文句はない

嫉妬はある 怒りはない

煙草はある 薬はない

首輪はある 手錠はない

酒はある 水はない

時間はある 自由はない

地図はある 磁石はない

惰性はある 勢いはない

味方はある 敵はない

戦いはある 勝負はない

問題はある 気力はない

物はある 金はない


夢はある 希望はない

Oct.31 2002



+ 「会議室」での会話 +


「世の中でもっとも愚劣な人間ってのは

自分がいかに愚劣であるかを理解してない人間だろうね」


「知っててそれを指摘しない人間は もっと性質が悪いんじゃないか?」


「それを優しさと呼べとは言わないが せめて思いやりと解してくれよ」


「ホントは面倒くさいだけのくせに」





+ CARNIVAL +


裏切りと背徳のカーニバル

太陽の光が差さない場所で 悲しげに踊り狂う

裏切りと背徳のカーニバル

夕焼けと朝焼けの狭間で 我先に謳い遊ぶ


「明日がこなければ良い・・・」と 聞こえるように呟く

あなたの横顔は 深い闇を見つめているようで

鏡に映る顔を見つめ 煙草をくゆらすフリをして返事を保留する


「時間が止まってしまえば良い・・・」と 声に出して呟く

あなたの横顔は 遠い過去を見つめているようで

皺のシャツに袖を通し 耳に入らなかったフリをして言葉をはぐらかす


苦しいときにだけ便利に涙が出るその瞳は 悔しいけど魅力的で

悲しいときにだけ利口に雄弁になるそのくちびるは 腹立つけど魅惑的で

一瞬の無言劇 また繰り返してみたくなる


裏切りと背徳のカーニバル

太陽の光が差さない場所で 命燃やし踊り狂う

裏切りと背徳のカーニバル

夕焼けと朝焼けの狭間で 我が春を謳い遊ぶ





+      +


プライドをドブに捨ててしまった人間と

  羞恥心を摩滅し尽くしてしまった人間とは

どっちがより恥ずかしいかを考える


たいした違いがないって結論は ひとまず横に置く





+      +


悲しみや苦しみを背負うことは 権利の代価にはならない

Oct.29 2002



+      +


虚構の自由を好きなだけ享受するがいい

Oct.24 2002



+ 「動物園」での会話 +


「ひたむきに頑張ってる人の顔はすごく魅力的なのに

同じ顔が増長してしまうととても醜い

どこが違っているんでしょうね?」


「眉の角度じゃない?」





+      +


金を持ってる愚者は 使い道があっても救いようはない

金を持ってる賢者は 煮ても焼いても食えたモンじゃない





+ 因果おーほー +


回るまわるよ 因果は廻る

原因の種を植えたなら 結果はきちんと刈り取ろう

回るまわるよ 因果は廻る

袖擦り合ったのが一生の不覚


「他生の縁」なら泣き寝入りかね? 親の因果も子供が背負うよ

運命論者なら尻も軽いし 「大衆の麻薬」中毒よか御しやすい


回るまわるよ 因果は廻る

原因は過去にあったことで 結果は未来に起きること

回るまわるよ 因果は廻る

袖擦り合ったのが一生の不覚


「不慮の事故」ならいいわけ立つかね? 論理の鋭さに低頭するよ

悲観論者を笑った過去は 「済んだこと」ってんだから度し難い


回るまわるよ 因果は廻る

原因に権利があったように 結果には義務がつきまとう

回るまわるよ 因果は廻る

袖擦り合ったのが一生の不覚


言葉の重さを知らない子供は 守れもしない約束を繰り返している

過去を購う気のない大人は 「自分の権利」だけを熱心に主張している

計算高いロマンチストは 負け犬の賛美歌を合唱している

夢見がちなリアリストは 自己犠牲の美酒に酔いしれている


回るまわるよ 因果は廻る

原因に意思が働いたとしても 結果は努めて知らんぷり

回るまわるよ 因果は廻る

袖擦り合ったのが一生の不覚





+      +


やっと「ここ」に帰ってこれた

Oct.23 2002



+      +


自分の愚かしさを確認する作業ってのは

過去のマスターベーションをVTRで見せられるほどに不快だが

赤い羽根を買わされてしまう程度の「善」と

冷笑に対する忍耐力の確認と

吐き気をもよおすような安堵と

自分の底の浅さを再認識できるって意味で

「なくても良い」ってくらいには価値があるんだろう


その「不快」と「価値」を 秤にかけてはいけない





+       +


原因に目を瞑って結果だけを論じる人間と

自尊心があって自制心がない人間とは

どっちがより恥ずかしいかを考える


どっちにもなりたくないって結論は ひとまず横に置く





+      +


何もかもが予想通り 言わずもがなの予定調和

笑えってのか?

Oct.22 2002



+      +


正論を吐くことが 正義ではない

正義だけが 最良の選択ではない





+      +


咲き誇った花は 枯れるしかない

熟れ過ぎた果実は 落ちるしかない

繁栄を極めた社会は 朽ちるしかない

栄華を誇った国家は 滅ぶしかない


役目を終えた人間は 消えるしかない





+      +


言いたいことを言うことと 言いたいことを飲み込むことの

どちらが罪深いだろうか――?





+      +


水が高きから低きに流れるように 人はより楽な方に流れていく

人生経験が積み上がるごとに 人は自己弁護だけが上達していく


弱さにあぐらをかく虚言家は 気力をすでに失っている

強さを鼻に掛ける詭弁家は 魔力を使い尽くしている


虚言家は呟くだろう

「処理能力のないオレに 責任能力だけがあるとでも思うかい?」


詭弁家はぼやくだろう

「信じる気さえないヤツが 魔法に掛かるわけがない」





+      +


僕の理想が あなたの理想だと思っていました

Oct.17 2002



+      +


悲劇のヒロインってのは 楽なもんさね

Oct.16 2002



+ <今日の短歌> +


バスに乗り しのつく雨の北陸路 退屈しながら 外を眺める


はしゃぎたる 人を目尻の端に見て 手酌で進む 金沢の夜


雲間から 霧の湖畔に陽が射して 朝の露天の 気は清々し


槍一筋 稼ぎ取りたる金沢に 偲ぶよすがもなき歌舞伎者


致されて 致して続く人の綾 キラリと光る もてなしの粋


眠らせた心の奥で 鎌首を もたげてきたる 古き欲望


Oct.9 2002


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