先週はキリストの生誕を祝ってたよね?
+ <今日の短歌> +
年の瀬は 気ばかり急ぐ人の性(さが) 時の流れは 同じなのにね
いまだけは 世界に君と二人だけ 夜が明けるまで Stay with me
鬱々と また考えてばかりいる 少しも動かぬ この両の足
傷口の 醜さだけはもう二度と 見たくはないと しゃがみ込む君
限られた 時間の中の「生」なのに 何も遺さず また夜が明ける
+ 双 月 +
夜風が引きちぎるように 雲を運んでいく
雲間から覗く真円の月は 冷たく優しく湖水を照らす
どこまでも透き通ったこの水は あなたが流した涙の色で
天を映して瞬く水面には もう1つの月が輝いている
浅瀬に遊べば 歌声が聞こえる
心地よい声音に惹き込まれてしまう
深く沈み込めば 浮かび上がれない
心地よい眠りに引き込まれてしまう
闇に輝く 2つの月
すくい取った手のひらから 1つこぼれ落ちた
+ +
浮世に遊べば フィクションのような現実が溢れている
ネットに遊べば 現実のようなフィクションが幅を利かせている
+ <今日の短歌> +
〜クリスマス〜
誰よりも 愛する子らのためにこそ 暖かくあれ 清しこの夜
陽も差さず 風さえ吹かぬこの場所に ただ居ることが 贈り物です
一年に たった一度の聖夜(イヴ)だから せめて今夜は 幸せで居て
+ 今夜だけ +
あなたのつよさは知っているけれど
こんな夜は それがかえって痛々しいね
あなたの甘さは知っているけれど
こんな夜は それがかえって愛おしいね
あなたが虚勢を張れてるうちは
僕の優しさは必要ないね
あなたが強くいられるうちは
僕の支えは必要ないね
見つめているからね
ちゃんとわかってる
ホントは いらぬ世話と よく知っているけれど
今宵は こんな夜だから――
あなたの その哀しみに 寄り添おう
+ サイネリア +
大好きな あなたへ 花を贈るよ
小さな鉢植えに 過ぎないけれど
可愛いたくさんの花たちが とても眩しいんだ
この小さな花たちのように
いつも輝いていて ほしいから
太陽の暖かい光をいっぱいに浴びて
いつも笑っていて ほしいから
小さな鉢植えを 君に贈るよ
サイネリア――いつも 輝いて・・・
+ +
好きなだけ傷つけるがいいさ
+ 「キリスト」から一言 +
自分自身のほかに誰も信じない私は
まだ誰からも裏切られたことがありません
+ <今日の短歌> +
〜涙〜
仲直り 決めた途端に泣き笑い もう大丈夫 離さないから
つゆ知らず 誘ってみれば 泣き上戸 休むヒマなく 濡れるハンカチ
もう二度と 流させないと決めたのに 同じ過ち また繰り返す
いにしえの 恋人たちは袖濡らし 文に託した 想い届けと
その歳で 何かといえば男泣き そんなアンタが 嫌いじゃないよ
心から 嬉しいときは自然とね ゆるむ仕組みに なってるらしい
思い出の中のあなたは いつだって 泣き顔ばかり 僕に向けてる
もうすでに 涸れたと思っていた涙 まだこんなにも 残ってたと知る
+ 逢 瀬 +
遠き星より馳せ来たる 淡く輝く流星が
瞬くほどのつかの間に 脳裏を駆けるうたかたの
夢と知りつつとつおいつ 想い巡りしぬばたまの
闇に隠れてひそひそと 声殺しつ密(みそ)か事
かなわぬ恋と知りつつも ただひたすらに守りゆく
人目を避けしその理由(わけ)は 言うに言われぬ涙雨
枕を濡らすその女(ひと)の 艶(つや)をまといし黒髪を
優しく愛(め)でる左手の 鈍く輝く名無し指
この瞬間が永遠に 続くことなぞなかりしを
知っていつつも宵月に 儚く掛けた願い事
+ +
そんな偶然があったって良いだろ?
+ <今日の短歌> +
目に見えぬ 手も触れられぬこの距離に 微かに匂う 闇のぬくもり
昔から 少しも変わらぬ俺が居る きっと死ぬまで 変われないよね
身体から 力が抜けるてゆくような また積みなおす 積み木にも似て
絶望と 怒りと焦りで脳が焼け あふれる言葉 震え出す指
今更ね 痛みも何も感じない 心はすでに 死んでいるから
砂の城 何度作ってみたとても 波にさらわれ またやり直し
時を越え 場所さえ越えて届くもの 呪うも癒すも 同じコトのハ
+ のんだくれから一言 +
アルコールで癒やされる渇きは
ホントの渇きではないらしい
+ 呪い +
この右手の剣で あなたを刺し貫いたら
僕はあなたの呪縛から 逃げることが出来るでしょうか?
あなたに繋がれた この鎖を断ち切ったら
僕はあなたの魅了から 醒めることができるでしょうか?
あなたはなぜそんなにも 落ち着いていられるのですか?
あなたはなぜいっこうに 逃れようとしないのですか?
あなたにとって それこそが 最期の魔法なのですか?
そうして 僕を永遠に 縛るつもりなのですか?
+ +
僕はいつも 筋書き通りの役を演じ
あなたはいつも アドリブでそれをぶち壊す
+ +
無明の闇とは あらゆる光明が差し込まない牢獄
怒りもなく 恐怖もなく
喜びもなく 哀しみもない
そして
希望もなく 失望もなく
得るものもなく 失うものもない
そこには 深い水底のような 静謐だけがある
+ Down Force +
縛り付けるがいい 風の精霊たちよ
母なるこの大地に 我を縫いつけよ
天に突き上げた拳を
昂然と空に向けた顎を
激しく抵抗する両足を
力強く広げられた翼を
押し潰す意気込みで
捻り潰すイキオイで
拒絶を差し挟む余地もなく 高圧的に
逃げをうつ暇(いとま)もなく 圧倒的に
我をねじ伏せよ
我を屈服させてみよ
+ +
君はたとえば 撫でようとすると身をかわす猫
僕はその貴婦人のような姿を眺め 微笑んでいる絵描き
+ <今日の短歌> +
腰痛い あぁ腰痛い 腰痛い 向き変えるたび 歯を食いしばる(泣
いったいね なんの因果でこんなにも 苦痛賜わる 我が前世かな
高邁な 理想も思想もありゃしない 痛みの前に 止まる言の葉
覗き込む 淵の深さに怖気立つ 見たくないから 蓋をしたのに
久々に 引き抜いてみた刃(やいば)には 錆びひとつなし 竦む斬れ味
+ Seasons of Change +
瞬く星に願いを懸けた 幼い頃のように
何一つ疑うこともなく 純粋に
光が射す方向へ 弛まず歩いていた
自由自在に思い描いた 子供の頃のように
無限の可能性を秘めて ひたすらに
夢が告げる場所へ 振り向かず歩いていた
時間の流れは無慈悲で ためらいは許されず
現実の世界は残酷で なれあいは許されず
砕け散った波濤は 心の曇りガラス
凍えそうな海に煌めく 儚い夢の飛沫
すべてを初めから やり直せるものなら
なんの迷いもなく 引き金を引くけれど
叶わぬ想いを抱きしめて
僕は 変わろう
+ +
僕は喩えるなら 大きな樹
枯れるその時まで ずっと同じ場所に立っている
雨をしのぎたくなったとき 日差しを避けたくなったとき
あなたが憩う場所であればいい
そしてまた帰るべきところに 帰っていけばいい
+ <今日の短歌> +
歩き去る後姿は 振り返る素振りも見せず 人に紛れる
居酒屋に ジョッキ傾け語る宵 不思議なほどの ゆるやかな時間(とき)
疲れ果て 寝息聞きつつまどろみて 鳥にせかされ また夜が明ける
この海に 深く沈んで想うのは 闇の深さと その暖かさ
HIKARIさんの隠れ家にて、短歌の共演中♪
+ 要 望 +
残り香のように 微かな馴れ合いが良い
昼と夜の顔は ギャップがあればなお良い
「不実」を装うのは歓迎する
「誠実」を装われると迷惑する
「素」がそれだと 言うこと無い
「裏」を持ちたいなら スマートに頼む
+ <今日の短歌> +
欲しいのは 常に自分の味方だけ 痛い言葉に 貸す耳はなし
文と武は 同じ頭脳(ところ)が司る 身体を苛めよ 考える前に
遠い場所 目指して歩く ひたすらに 流れて過ぎる 景色も見ずに
恣意的な 解釈だけで生きてゆく 人を騙して 我も騙して
不思議だね 少しも出ない恨み言 あなたの声で すべて赦せた
目的を いつから見失ったのか 手段にばかり 汲々として
醜さを 認めぬ自分に気付かずに いいわけばかり 並べ立ててる
+ 「解き放たれぬ」という罪 +
認めることを無意識が拒否して 私はまた嘘をつかなければいけなくなる
相手につく嘘はたやすい 自分につく嘘は罪深い
本性に蓋をして本音を押し殺して 現実に目をそらして虚構に縋りついて
言葉は無限に頭の中で螺旋を描き 吐き出されることなく胸の中で燻ぶり続ける
美しい鏡に映った苦しむ姿に陶酔し 苦しむ自分をいいわけにまた自分を正当化
こんなに苦しんでいるのだから もう罰を受けたから
こんなに涙を流しているから もう禊は済んだから
私はもう綺麗になりましたか?
私はもう許してもらえますか?
教えてください 教えてください 教えてください――
憎むことを許さないのは 憎む自分が醜いからで 相手が憎くないからではない
愛することを認めないのは 認める自分が許せないからで 愛してないからではない
複雑に絡みあった糸を ほぐして解いてゆく作業はとても億劫で
私は疲れてしまっているのだから しなくていいよね? いいでしょ? ダメ?
投げ出す自分も嫌いで 繰り返す自分も嫌いで イヤになってしまってる自分も嫌いで
身動きができなくなってしまってるのに その苦しみにもがく自分すらも可愛い
本当に欲しいのは傷に塗る痛み止めだけで 傷の醜さを映し出す真実の鏡じゃなくて
その場限りの麻薬で誤魔化して いま痛みを感じなくさせてくれるだけでいい
痛みを感じなくなったんだから 私の傷は消えているの
癒ったから痛くないの だからもう傷はないの
だから私はもう綺麗になってますよね?
だから私はもう許してもらえますよね?
私が気持ち良い言葉だけを言って 気持ち良い言葉だけを
痛い言葉はもう聴きたくない 聴きたくない 聴きたくない――
無限の螺旋のなかにはまり込んで 私は私だけを見つめている
去って往こうとしているのも私 私はその後姿を呆然と見つめ続けている
+ +
僕には顕示欲だけがあり
あなたには自己愛だけがある
+ 引き算 +
自己満足でない「満足」は どこにもないから
どこまでも欲望を満たせばいい
退屈でない「日常」は どこにもないから
どこまでも刺激を求めればいい
「心が満たされる」ことだけが 人の幸福であるのなら
あなたの理論は「完璧」 どこにも抜かりはない
「幸福に生きる」ことだけが 人生の目的であるのなら
あなたの理想は「絶対」 どこにも間違いはない
なぜなら人は死ぬからね
あなたは「あなたの幸福」だけをその手に掴み
たくさんのモノを失えばいい
+ <今日の短歌> +
〜 嘘 〜
それでもね 人の心は移ろうよ 哀しいけれど それが真実
愛憎は 同じコインの裏表 どちらが出るかは その時の運
その言葉 吐いたあなたの誠実に 騙されるなら それも良いさね
いつまでも 同じものなどありゃしない 諸行無常さ 人の心も
騙すなら 騙し抜きなよ墓場まで それがオトナの エチケットでしょ
+ +
愛情で加速する情熱があるなら
憎悪で加速する情熱があっても良い
+ +
悲しみと苦しみと共にあった安らぎは
悲しみと苦しみが去ると共に消え去った
巨大な空虚と共にあるのは 無為の時間
いま鏡に映るのは ひどく虚ろな笑顔
求め続けていたものを 得たというべきかどうか?
忘れる時間が長くなっていくことを 悲しむべきかどうか?
+ <今日の短歌> +
座り込み あくびしている 人並みに 身につまされる 破壊衝動
北風に みぞれ混じりの雨が降る 腰の痛みと 凍る指先
ゆるやかに 流れる時の中に居て 愛しき女(ひと)を 壊したくなる
朽ち果てて やがては土になる身かな 何を遺すか それが問題
ぐるぐると 廻る階段昇りつつ 巡る景色に 目を遊ばせる
+ +
あなたの言葉は軽すぎる
+ +
解ってる解ってると 考えなく言うけれど
あなたは知ってるだけで 少しも理解していない
+ パントマイム・4 +
ちょっと続けざまに 僕に会いました
彼はすこし疲れた顔で いつものように笑っていました
「いい加減、そろそろ身を固めたらどうだ?」と 僕が言うと
「シアワセになるには資格がいるんだよ」と 彼は言いました
+ BEER +
渇いた心に 黄金色の液体がしみ込む
化学変化は 起こさせないのが流儀
冥い水槽に沈んでいる石のように 静かに
煙草から立ち上る煙のように 密やかに
耳障りでない音楽と うるさ過ぎない喧騒があればいい
面倒でない食べ物と 君の笑顔でもあれば なおいい
どーせ酔えはしないから 酔える話題があれば有り難い
泡が消えてしまうように いなくなれたら言うことない
+ +
「忘れっぽいのが君の欠点だね」と 僕が言うと
「いつまでも忘れないのがあなたの欠点よね」と 君は言った
+ +
人を癒すということと
人に癒されるということとは
どういう違いがあるのかを考える
コインの裏表で決めてしまえという誘惑は ひとまず横に置く
+ +
僕を必要としてくれる人が 僕には必要で
僕を必要としない人は 僕には必要ない
僕が生きるということは結局 そういうことなのだろう
+ さくらふぶき +
はかない想いを抱かせてしまうことが 罪であるというのなら
いったい誰が私を糾弾してくれるというのでしょうか?
あなたの心に踏み込んだ
私に与える罰ならば
神よ私に微笑むな
せつない想いを抱かせてしまうことが 罪であるというのなら
いったい誰が私を罰してくれるというのでしょうか?
消え逝く宿命(さだめ)と知りながら
見えぬ未来に蓋をした
私に与える罰ならば
時よ私を救けるな
声を聞かむとしやうとも すでに匂ひとなりぬるを
愛(かな)しき人を想いゐて 独り静けく見る月の
杯を重ねつ待ち侍り はや明け暗れに白々と
蔀を濡らす朝露の 目を凝らし見ゆ朦朧に
浮き上がりたる人影は 花に惑ひし白日夢
散り逝くさくらの花びらを ふぶきのごとくする風の
この苦しみが永遠に
続くことこそ地獄なら
今日も明日も明後日も
闇よ私を動かすな
どうしてあなたはそんなにも 私に哀しみを押しつけるのですか?
+ 醜態 +
生来の己を忘れきった無様な自己陶酔
聖者の寛容を真似たような醜悪な慢心
無彩色の世界に ただ流れる血の旋律
静寂の独房に ただ漂う死の芳香
己の膝を抱くための両手に
大地を踏むことをやめた両足
閉ざされた目蓋に 開くことをやめた唇
抜け殻の身体と 癒されゆく魂
+ OVER−FLOW +
言葉で伝わるモノだけが 人の想いではないハズで
言葉で伝わらないモノも あなたに伝わっていてほしい
抱きしめてやることだけが あなたを暖めることではないハズで
離れた場所にいたとしても あなたを暖めてあげてたい
たとえばこの言葉が 全部なくなってしまえばいい
真実(ほんとう)のコトは1つも 言葉になんてならなくて
溢れ出すこの想いを あなたに伝える術(すべ)はない
たとえばこの想いが 全部伝わってしまえばいい
洪水のような 雪崩のような 津波のような 想いの奔流
怒濤のようなこの想いは きっとあなたを崩すだろう
きっとあなたを壊すだろう
+ +
世界の時間を止めてしまうことと
己の時間を止めてしまうこととは
どちらがより誠実かを考える
選べる自由がないという結論は ひとまず横に置く
+ +
大好きな人の心を傷つけることと
大好きな人に自分の心の痛みを知らせることとは
どっちがより残酷かを考える
逃げるのが一番楽だという結論は ひとまず横に置く
+ バランス +
もしも この世界が 太陽の輝く時間だけであったなら
もしも この世界に 暗闇が支配する時間がなかったなら
僕は この大いなる破壊の衝動を ねじ伏せることをしないだろう
僕は この御しがたい怒りの情動を 取り鎮めたりはしないだろう
ただ高いだけの山よ 海まで崩れ落ちるがいい
ただ冥いだけの淵よ その口を閉じるがいい
「 お前の舌を抜く閻魔はいない 」
監獄の看守は愛想なく笑い
「 汝の魂に安息の日はない 」
教会の牧師が無慈悲に嘲う
信ずべき法もなく
誇るべき理もなく
戦うための剣もなく
寒さを防ぐ術もない
この暗闇に 沈み込む喜び
この闇夜に ただ眠る悦び
+ パントマイム・3 +
かなり久しぶりに 僕に会いました
彼はすこし老けた顔で 相変わらず笑っていました
「また煙草が増えたな」と 僕が言うと
「納税は国民の義務さ」と 彼は言いました
+ +
理解させようとさえしない あなた
誤解さえしようとしない 僕
+ 羽の白いカラス +
取り繕う言葉と 声音に込める誠実
隙間なく吐き出す紫煙 泡の揺れるグラス
騙された振りをして 吐息に込める失望
際限なく繰り返す自演 羽の白いカラス
零れ落ちた透明の雫は 遠い記憶の欠片
背に立てた爪の痕と 寒い夜の残滓
重ねるためだけの唇 言葉のいらない夜
+ 月下美人 +
遠く響く異国の唄 嫋々として哀愁を帯び
高く輝く宵待ちの月 哀しげに待ち人を想う
決して解けないパズルのように どこまでも彷徨い
決して溶けない氷のように いつまでも凍き
その白き花弁についた 夜露の一滴
澪れ堕ちるその先に 甘く漂う芳香
秋の宵に狂い咲いた あなたは月下美人
わずか数時間の宴 過ぎた夏の夢
+ +
「忘れっぽいのが君の欠点だね」と 僕が言うと
「忘れっぽいのがあなたの美点よね」と 君は言った
+ +
闇が軋む音を聞くがいい
+ +
何を忘れたわけでもない 何も失っていない
何を手にしたわけでもない 何も掴んじゃいない
変化のない日常に埋没する その気安さに
研ぎ澄ましていたはずの 切っ先が錆付いて
甘えられる相手にもたれかかる その気楽さに
張り詰めていたはずの 緊張の糸がたわんで
変質していく色に気が付かなかったのか
零れ落ちてゆく砂に目が行かなかったのか
あなたが羽を休める場所で あったはずなのに
+ +
冥い炎を燃やして 身を焼き尽くし
その灰の中から 再び立ち上がる
永遠に続く営み
永遠に続く苦しみ
+ +
螺旋のように ぐるぐるぐるぐると
同じ座標で回りながら
それでも少しずつ 高みに昇っていると
嘘でもいいから 誰か・・・
+ +
それはたとえば 思い出の詰まった玩具
それはたとえば 目覚めたときに忘れた夢
それはたとえば 使用期限の切れた置き薬
それはつまりは なんの価値もないものたち