み そ ひ と も じ



2002




ほろ酔いの 気分を覚ます 告白に 凍てつく月と 凍りつく指


Dec.17 2002




埒もない 愚痴と泣き言繰り返す 「弱さ」見つめる 電子の鏡


座り込み あくびをしてる 人並みに 身につまされる 破壊衝動


北風に 顎を向けつつ 立ち尽くす 伸びる背筋と 握る拳と


邪魔されて 虐げられていたからこそ 圧力のように 高まる想い


風吹けど 波ひとつなき水面から 窺い知れぬ 水底(みなぞこ)の青


Dec.4 2002




原色の 葉の輝ける 万華鏡 闇夜に浮かぶ 幽玄の秋


水音が 響く曇ったガラス越し 外した指輪 消え行く吐息


忘却の淵に 飲まれて逝く身かな 無慈悲な神の それが慈悲なり


ピスタチオ 齧りて独り飲む酒は 琥珀に香る 芳醇な酔い

Nov.23 2002




久方に 嬉しき便り 夜もすがら 琥珀の香り 舌で嗅ぎつつ


肉を超え 普遍の世界を観じれば 世界は空と 海ばかりなり


晩秋に 忍び込みつつある冬の 足音を聞く 宵闇の風


神と言い 仏と呼んだ なにものか 世界を廻す 瞬きの間に


Nov.13 2002




バスに乗り しのつく雨の北陸路 退屈しながら 外を眺める


はしゃぎたる 人を目尻の端に見て 手酌で進む 金沢の夜


雲間から 霧の湖畔に陽が射して 朝の露天の 気は清々し


槍一筋 稼ぎ取りたる金沢に 偲ぶよすがもなき歌舞伎者


致されて 致して続く人の綾 キラリと光る もてなしの粋


眠らせた心の奥で 鎌首を もたげてきたる 古き欲望


Oct.9 2002




偶然に 隣に座ったあの人は 誕生日まで なぜか同じで


思いつき 飛ばしたメール 久方に 幸せそうで なんか嬉しい


擦れ違う 言葉と心 もどかしく ただ抱きしめて しまいたい夜

Sep.26 2002




色気より 食い気が優る人もいる 馬より肥ゆる 秋の空かな


ペナントを 掴み取りたる 原・巨人 兵(つわもの)たちに 一時の宴(ゆめ)


独り言が 増えたと僕に言うけれど もっと増えてる 君のため息


あと少し休んだら きっと立てるから もうしばらくは そっとしといて


Sep.24 2002




遠き日に 心の紙に焼き付けた 褪せることない セピアの写真

海原に 乱反射する光線を 願い掛けつつ 見つめ続ける

結局は 裏も表も同じコト 歪みも捻れも メビウスの輪も

Aug.27 2002




烈光に 煌めきて飛ぶ 水飛沫 真夏の午後に 目に見える「涼」


逃げ水のように 逃げてくその姿 蜃気楼だと 人は言うかな?


公園の 木陰の風と 蝉時雨 夏の盛りに 球追う子供

Jul. 31 2002




猛然と 背中を叩く通り雨 仕事ですから 我慢しますがぁ(泣


真夜中に 遠く聞こえる汽笛の音(ね) いつかそこまで いくのだろうか


時が経ち やがては骨になる身かな 何を惜しんで 何を迷わむ


Jul. 15 2002




夏の日の 嵐の去りし蒼穹に 飛行機雲の 流れゆきたり


巡り来る 縁(えにし)の綾や とつおいつ 思案決まらぬ 初夏の宵闇


心地よき 酔いに任せて目を閉じて 後で起こすよ 今はおやすみ


Jul. 14 2002




ジンライム 独り飲む宵 水無月の 月なき夜に 雨音もなし


杯交わし 夢を語りていた友は 紫煙のごとく 明けに消えたり


なにごとかを 為したいと願い 今日もまた 無為に陽が暮れ 齢を重ねる

Jun. 27 2002




しとしとと 蔀を叩くこの梅雨を 古人は何故か 水無月といふ


蹴鞠なら 勝った負けたもなかりしを 賭けるは国の 恥と威信か


人の世に 無用のものと知りつつも 功名餓鬼の根は捨てられず


知らぬ間に 君を照らした月隠れ 闇夜に慣れば 君が隠れる


それこそが 無明長夜の灯火と 信じて行かむ いま来たる道

Jun. 1 2002




散り惜しむ花 吹き飛ばす春の風 蒼天すでに 雲1つなし


独り寝の 寂しさ隠す強い酒 弱さに酔って ただ眠るだけ


桜散り 緑の若葉萌え出ずる 終わりじゃないと 始まりだよと


Apr. 4 2002




君は逝く 桜吹雪の遊歩道 羨ましげに 僕は見上げる


慰める言葉も なにも出やしない この歯がゆさと この不甲斐なさ


青空に 薄紅の雪が降り 忘れたものを 思い出させる


儚さと共に あなたは去ってゆく せつない想い 春の夜の夢


Mar. 31 2002




〜 地の果て 〜


蒼天に かかる雲さえ 吹き飛ばす 荒涼とした 神の棲む場所


いま君が どんなに離れていようとも 僕らの上には 同じ空だね

 
この国じゃ 涙が乾く暇もない 雨のかわりに 鉄が降る街


ようやくね 辿りついてはみたけれど ここから先は もう地図も無い


果てのない 砂漠の中に 延々と 続く足跡 紺碧の空


Feb. 23 2002




〜 旅立つ人へ 〜


闇夜にも あなたを照らす月あかり 忘れないでね 信じていてね


見据えなよ 水平線のその先に あなたが目指す 場所があるから


一期一会 昔の人はエライよね あなたと僕は また逢うけどね


遠き旅 まだ始まったばかりさね 息を抜きたい 時もあるさね


風の音は 迷ったときに聞けば良い ただ走りだせ 今がその時


旅立つと 決めたあなたの双眸に 迷いと曇り 似合わないよね


終わりこそ 始まりであると信じてる 別れじゃないから 泣きはしないよ


遅くとも 決して止めるな その歩み 選んだ道が 君のゆく道


つらいなら いつでも羽根を休めてよ 僕はいつでも ここにいるから


背を向けた あなたの前に横たわる 無限の空と 有限の海

Feb. 15 2002




〜 運 〜


あざなえる 縄の如しと 運・不運 流れを変えよ 人の力で


もう二度と 運のせいにはしやしない 行為に伴う 結果あるのみ


偶然は 人が決めたる作り事 運も不運も この胸の中


天運を 語るに落ちたその行為 神頼む間に 人事尽くせよ


Luckには バイオリズムがあるんだね 勝負してると それが解るよ


Jan. 14 2002




逢えなくて はじめて解る暖かさ 遅すぎたかな きっとそうだね


覚えなく 年を重ねたこの身体 意味1つなく また価値もない


葛藤と迷いの中に 君は住む 肉の悦び 祈りと叫び


後悔は 先に立たずと知りつつも また繰り返す 人の営み


あなたとの この一瞬のためだけに 僕は生まれた そう信じたい


Jan. 7 2002




絶え間なく 吹きつつ過ぎる風の音に 何をか聞かん この僕の耳


シアワセの定義も決めず ひたすらに それを求める 愚かしさかな


疲れ果て 膝を屈したこの僕に 優しい言葉 かけてくれるな


負け犬に かける言葉もなかりけり ただ哀れみが あるばかりなり


1人いる初春の闇に 酔えもせず ただ静寂が 流れゆきたり


旋律に 身を任すほど若くなく さりとてそれを 認めたくなし


容赦なく あらゆるものがポンコツに なりてゆくこそ 楽しかりけり


Jan. 1 2002



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