口頭無形分化剤　その５５

　笑止な話です。

　僕は管さんにわずかな同情をすることがあっても、鳩山さんには一切の同情はありません。
　鳩山さんは１年ほど首相をやっていましたが、日本の国益を次々と損ない、国民に決定 的な政治的失望を与え、外国に対しては無責任な口約束を連発し、しかも何一つ業績を挙 げなかった。間違いなく戦後最悪の宰相であり、もしかしたら日本の歴史上もっとも責任 感の欠如したトップリーダーであったかもしれないとさえ思っています。

　このルーピー鳩山が「ペテン師」という台詞を吐いた瞬間を、たまたまリアルタイムでテレ ビで見ていたのですが、よくぞ言ったものだと、呆れを通り越して怒りを感じました。

　ルーピーが首相として、国民と外国首脳に何と約束したか。
　忘れた有権者は一人もいないでしょう。
　自分が吐いた言葉に収拾をつけられなくなったこの男は、「国民が聞く耳を持たなくなった」 と放言し、責任を投げだしたのです。歴代の内閣総理大臣が行っていた国民向け退任会見さ え拒否して逃げたのです。

　自分では平然とそれを行いつつ、同じことをする他人を批判するのは、もっとも愚劣な人間 であるでしょう。他人は攻撃するけど自分は律さない、というのは、非常に人間的ではある けれど、誇りある政治家からはもっとも遠い態度です。

　ルーピー鳩山の救い難いところは、自分がペテン師以下の薄っぺらい詐欺漢であったことを 全部奇麗に忘れている上に、国民が自分にどういう目を向けているか、ということにまった く無自覚だということでしょう。彼は「恥知らず」なのだと僕は思っていましたが、どうも 恥を恥と感じる感性をそもそも持っていないらしい。そのあたりが宇宙人の面目躍如である かもしれませんが、そういう人間を総理大臣にしてしまう議会制民主主義とは、政党政治と は、いったい何なのか。
　この点は真剣に検証されるべきだと思います。
　日本の政治システムは断じて最善ではない。

　彼が民主党のトップとなれたのは、親子４代にわたって国家に寄生し、国の特等席に自家を 置いて利権を確保し、貯めに貯めた圧倒的な資金力による、と断言できます。
　彼はいわば民主党のオーナーであったわけですが、僕から言わせれば彼の資産は百余年にわ たって国家財政と利権構造から掠め取り続けた結果の金と、母親が持ってきたブリヂストン 株であって、彼自身が汗水流して稼いだものはおそらく１割にも届かないでしょうから、そ れらの資産を国政に突っ込ん で蕩尽（とうじん）したところで、プ ラスマイナスゼロでしょう。彼が日本 という国家に与えた損失を考えれば、私有財産をすべて没収して国外追放しても、まだ生ぬ るいと僕は思っているのですが、彼が議員バッジを未だに外さず、臆面もなくテレビカメラ の前で妄言をのたまう様を見ていて、名状しがたい憤りと無力感を覚えました。

　僕は金に汚い政治家を嫌っているわけではありません。
　ネコは、「ネズミを取るネコが善いネコ」なのです。
　金に汚かろうが女にだらしなかろうが、二世議員だろうが三世議員だろうが、優秀な政治家 なら何ひとつ文句はない。
　その意味で、たとえば前原さんや管さんが「外国人献金問題」で攻撃されているのを見ると、 首をかしげたくなります。
　政治家が資金集めに関して、法律を巧みにすり抜けて、絶対に法に抵触しない方法は、現行 のグレーな法律ならいくらでもあるでしょう。本当に頭の良いヤツが知恵を絞れば、合法的に 金を集める方法だって無数にある。たとえば小沢一郎氏は、沖縄の米軍基地の予定地の土地 を密かに買い占めているそうです。米軍基地のために日本政府に土地を貸し、毎年数千万の 賃貸料を得たとしても、そこに違法性は一切ない。
　外国人による献金は確かに違法ですが、たとえば間に仲介の日本人を挟んで、日本人名義で 献金させるような形を取れば、まったく違法性を問えないでしょう。僕から言わせれば、前 原さんや管さんは、脇が甘く間抜けではあったけれど、資金集めに関しては、単純な分だけ むしろ清潔と言えるんじゃないかと思っています。
　それを国会でネチネチ責めるのは共産党だけでいい。もともと自民党は同じ体質なんだから、 時間の無駄なんです。

　頭に来ていたので筆がすべりましたね。
　要するに、鳩山由紀夫は、僕が知る限り最低最悪の総理大臣です。
　おそらく、人間・鳩山由紀夫は、ただの人のいいお坊ちゃんなのだろうし、愛すべき大富豪 なのかもしれませんが、金持ちのボンボンならそれらしく、最初から金だけ出して権力に色 気など出さなきゃ良かったんですよ。
　彼がその資産を国政のために蕩尽し、民主党を育てるだけで満足して権力からは超然とした 態度を引退するまで取り続けていたら、「無私無欲の政治家」として歴史に名が残ったかも しれない。

　が、実際の彼は、汚名を千年に遺しました。
　僕は正直、顔を見るのもイヤですね。もうテレビに出て欲しくないです。

2011/6/10