口頭無形分化剤 その52


責任ある政治



 衆議院が解散されました。
 総理大臣になることが目的で、それ以外に何のビジョンもなかった麻生太郎という男が、任 期満了まで粘りに粘った末に解散したわけですが、本人に言わせれば解散を「決断」したとい うことになるらしいですね。
 笑止なことですが。


 自民党の賞味期限は10年も前に切れていたと僕は思っています。しかし、小泉純一郎とい う稀代の詐欺師が国民を扇動し、アジテートして、衆院の圧倒的多数を取ってしまったことで、 自民党は10年延命し、日本の民主政治は10年後退しました。
 小泉さんは、稀に見る喧嘩上手でした。選挙を打つタイミングといい、解り易いワンフレー ズで国民の思考を停止させ、長期的視野を失わせたことといい、まったく見事と言うほかあり ません。群衆の愚かさをあれほど見事に利用した政治家はいないかもしれません。
 彼のやったことで、僕が評価しているのは、北朝鮮に拉致されていた5人を連れ帰ったこと だけです。


 自民党議員は、しばしば、自民党は責任政党であると言い、責任ある政治を行えるのは自民 党だけであると誇ります。

 僕は彼らの厚顔さと恥知らずな様に怒りさえ覚えます。

 日本経済は、このわずか20年で、国と地方を合わせて1000兆を越える借金を抱えまし た。たった20年で、負債がほとんどなかった国が、天文学的な借金を積み上げたわけです。 その負債の利子だけで、1時間に30億円もの借金が増え続けています。

 日本はこの50年で、少子高齢化の道を驀進し続けています。
 日本経済のパイを維持し続けるのにもっとも簡単で確実な方策は日本国民を減らさないこと であり、パイを大きくする方策は、日本国民を増やし続けることです。子を産み、育て、教育 することに国家を挙げて取り組んでいれば――安心して子育てできる環境を整備することにき ちんと舵が取れていれば――現在のようなジリ貧な状況にはなってなかったでしょう。

 日本の食料自給率は、カロリーベースで40%を、穀物自給率で30%を割り込みました。 世界では毎日2万5千人以上が餓死し続けている現状で、食料を金に任せて輸入しまくり、し かも年間2000万トン近い食料を捨て続けている恥ずべき国は、世界で日本だけです。

 政治は、結果責任です。
 結果のみで評価され、結果に対して責任が発生します。
 この60年、政権与党を担い続けた自民党が責任政党であると言うなら、自民党の政治家は 一人残らず私有財産をすべて国に返納し、国民に頭を下げた上で、腹を切って死ぬべきでしょ う。江戸時代なら、こんなでたらめな政権運営をした政治家がいたとすれば、切腹すら許され ず、打ち首獄門になるのが当然なんです。



 戦後の日本は、日本人一人一人の血のにじむような努力と勤勉さと教育・技術水準の高さに よって奇跡的な復興を遂げました。ところが自民党の政治家たち――特に60歳を越えたよう な連中は、自分たちの政治によって日本が経済大国になったように錯覚しているように思えま す。
 「先生」と呼ばれて「偉い人」になったように勘違いし、2代、3代にわたって既得権益の 美味い汁を吸い続けることで、自己保存のみを至上命題とするもっとも唾棄すべき人間集団に 成り下がったのでしょう。

 そもそも政治家というのは、国民から集めたお金を、効率的に運用し、効率的に再分配する という役割を与えられただけの公僕です。自らは生産に一切寄与せず、国家に寄生して生きて いるような存在であって、偉くもなんともない。清貧であるのが当たり前で、金が欲しかった ら商売をすればいいんです。

 とはいえ、自民党に60年も政権を預け続け、政治をまったく省みなかった有権者にも、重 大な責任があります。政治家を選んだのは有権者なのですから、こんな日本にすることを、有 権者が望み続けた、ということでもあります。

 僕はこの10年が、政治的に「失われた10年」であると思っていますが、この10年のお 陰で、国民の中に「やっぱり自民党がずっと政権与党であり続けてはダメなんだ」というコン センサスができてきたことだけは、民主政治の前進という意味でよかったのかなぁと思ってい ます。
 日本の民主主義は「勝ち得たもの」ではなく「与えられたもの」ですから、国民の政治意識 の低さはある意味で仕方がなかったとも言えるのでしょうが、もういい加減、国民一人一人が 覚醒しなきゃいけないところまで、この国は追い詰められています。

 財政を立て直し、農林水産業を復興させ、少子化に歯止めを掛けなければ、日本という国の 将来的な展望はまったく開けません。ドラスティックな変革を行うには、まずは政権交代を実 現させ、国民がそれに慣れる、ということが不可欠です。

 僕は小沢一郎という政治家を評価していますが、民主党がベストだとはまったく考えていま せん。これからさらに何度も政界再編が繰り返されてゆくでしょう。そういう過程で、有権者 は学び、政治家も鍛えられ、政党も切磋琢磨し、よりよい方向に進んでゆけるようになるのだ と思っています。
 まずは次の選挙。
 政権交代が起こるところから、日本の本当の民主政治が始まってゆくのだと思います。

 このお祭りに参加しないのは、歴史的な損失です。
 皆さん、8月30日には、ぜひ投票所に行きましょうね^^

2009/7/21


インデックス へ



他の本を見る    カウンターへ行く

雑記帳に記帳する(BBS)


e-mail : nesty66★nifty.com(★を@に変えてください)