口頭無形分化剤 その19


「ルール」について


 最近、僕が吸う煙草の量が倍になってます。

 普段は、1日1箱程度だったんですけどね。
 ここのところ、2箱できかない日まである。
 困ったことですね。

 僕が吸っているのは「CASTER BEVEL LIGIT」。
 いわゆるベヴェル・ライトってヤツで、大学時代からの銘柄です。
 100Sの長さで、普通の煙草より一回り細いトコロが、スレンダー な女性のイメージに重なる可愛いヤツです。
 箱のスタイリッシュなデザインと、ちょっぴり甘い吸い口が魅力 ですな。

 僕が煙草デビューを果たしたのは、意外に遅くて、大学入学して からのコトです。年齢で言うと、18歳になるのかな?(って、ダメ じゃん!)
 それまで煙草にはまったく興味がなくって、

「なんであんなに意味のないモノにわざわざ金まで払うんだ?」

 くらいに思ってたんですが・・・もうダメですな。
 今では、煙草のない生活は、ちょっと考えられません。


 僕が大学時代、学生の喫煙マナーがあまりに悪くて、学校側が 構内から灰皿をすべて撤去して、建物全館を禁煙にする、といった 事件がありました。

 普通に吸ってりゃいいものを、喫煙所があるのにそこで吸わない。
 灰皿があるのにポイ捨てをする。
 バカだから、そういう行為が自分たちの首を絞めるということに、 気がついていないのですね。
 だいたい大学生ってのは、社会から遊離した極めて中途半端で 特権に満ちた階級だから、学生自身が勘違いしているのです。

 学生のウチなら、ま、好きなことやっとけ、みたいな。
 社会に出れば、どーせルールを守らなきゃならなくなるんだから・・・。

 バカも休み休みにしてもらいたいもんです。
 って、当時は僕も大学生だったわけですが・・・。

 ルールなんてものは、守るために存在するんじゃありません。
 ルールの方が、僕たちを守るために存在しているのです。

 特権も、いわば暗黙のきまり−−ルールです。
 バカは、自分たちがルールで守られていて、卒業と同時にルール のない世界に出ていくのだというコトが、解ってない。

 ルールのない世界というのは、つまり自己責任の世界です。

 何をやっても許される代わりに、何もかも、自分の責任で処理を しなければならない。
 何かをやらかしてしまった場合、子供だから、学生だからと守って もらえない世界−−つまり「社会」です。

 バカな学生は、その「社会」に出ることを、「縛られる」ことだと 思っている。
 笑止なハナシです。

 逆です。

 「社会」に出るというのは、「自由になる」ということです。

 働くのも、働かないのも、頑張るのも、頑張らないのも、やるも、 やらないも自由な世界。
 そこは、何をするのもホントに自由です。

 他人に迷惑を掛けたって良い。
 犯罪を犯したって良い。
 人の道に外れたって良い。

 何をしたって良いのです。
 ただそこに、自己責任が発生するだけです。
 起こしてしまったことと、そこから波及したこと総てに、逃げずに 責任を取る自信と覚悟があるのなら、何をやったっていいのです。

 やれるものなら、やってみれば良い。


 逆に言えば、ルールに守られてる間は、そのルールに従うのが その構成員の義務です。
 その意味で、ルールは守るモノではない。
 守らなければならないモノです。

 きまりに「縛られる」ということは、「そのぬるま湯にいさせて もらう」というコトです。
 「縛られるのを嫌う」いということは、「その居心地良い世界から 追い出されてしまうかもしれないリスクを背負う」ということです。
 当然、追い出されたって文句は言えません。
 それは、「寒く厳しい世界を望む」という態度なのですから。

 だから、学生のウチは、煙草のポイ捨ても不可です。
 高校生が、電車で煙草吸うのも不可です。
 そういうことは、「社会」に出てからして下さい。
 あなたという個人の自己責任で、社会に迷惑を掛けて下さい。


 このハナシには、例外があります。
 それは「人間社会」に当てはまらない環境にいる場合です。

 僕は灰皿が無い場合、ポイ捨てすることがあります。
 えぇ、最低です。
 ただ、それをする可能性があるのは、人が住む街の中において のみです。
 山では、何があってもゴミは捨てません。

 煙草のポイ捨てどころか、川でカレーの鍋を洗うことも、僕は許 しません。
 鍋のヨゴレは、すべてテッシュで拭き取って持ち帰る。
 油で汚れた水を捨てない。
 食べ残しは、腹が裂けても食う。
 ビニール系のゴミなんてもっての他です。

 下草が生える可能性のあるところでの焚き火
 自然に還る可能性のあるものの投棄(還らないものはいうまでもありません)
 自然環境に対する直接的な攻撃
 こんなものはすべて不可です。

 人間のルールが適応されるのは、人間の生活圏においてのみです。
 それ以外の場所には、その「ぬるま湯」を許さない、冷厳たる ルールがある。
 人が住む場所を人が汚すのとはワケが違います。
 そこは人が汚して良い場所ではないのです。

 お願いですから、汚すくらいなら行かないで下さい。

H.13 8/12



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