口頭無形分化剤 その18


お空の色は・・・・?


 最近ちょっとばかしエッセイをサボッてましたね。
 何を書いても愚痴になっちゃいそうで、いい加減書くのがヤだった んですけど、どうやらそろそろ復活です。
 皆さん、お待たせしました。
( 誰も待っちゃいねーって )
 さっそく本題です。


「ねぇーお母(父)さん、お空はなんで青いの?」

 可愛い可愛いあなたの子供が、あなたに聞いたとします。
 さてあなたは、何と答えますか?


 ちょっと前の話になるのですが、ある方のサイトを覗いていて、 大変素晴らしい夕日の画像を目にしました。
 大自然の神秘というヤツです。
 それはもう、えもいわれぬ色合いでしたねぇ。
 影とのコントラストもバツグンでした。

 そこでね、それを見ながら考えたわけですよ。

 空気って、基本的には無色じゃないですか。
 無色で、しかも実体が無いから着色もできない。
 けれど、夕焼けって「赤」ですよね。
 当然、昼間の空は「青」ですよね。
 「これはどうしたことだろう?」というわけです。

 子供のような疑問ですかね?
 あなたは、すぐに答えられますか?


 ここで、科学的な返事をしても良い。
 例えば、

「いいかい? 僕たちが「モノを見る」というのは、「可視光線」 という光が、網膜に刺激を与える、という現象なんだ。
 光は量子力学的に言うと、「粒子」と「波動」の両方の性質を併 せ持っている困った存在なんだけど、この場合、その「波動」の性 質が、問題になるんだね。
 空気中の分子−−これはおそらく量的に言って窒素だと思うんだけ ど、その窒素分子の振動の周波数と、この「可視光線」の振動の 周波数が合わさると、僕らの網膜が「青」と感じる「振動」を生じ てしまうんだね。
 もちろん、空気の量が少しなら、そんなもの見えはしないんだけ ど、お空には空気がいっぱいあって、それがどこまでも続いている から、人間の目には、それが「青の波長」として認識されてしまう んだよ。
 だからお空は青いのさ」

 と答えれば、まぁ、小学生レベルの子供相手には、まず満点の 答えと言っていいでしょう。
 っていうか、むしろイジメです。


「ねぇ、なんで夕日って、あんなに綺麗なのかしら・・・?」

 と、あなたの彼女が言ったとします。

 ここで、

「あれは、地平線で歪んだ「可視光線」の波長が、空気の波長と 合わさって、あの色になってるんだ」

 と答えるようでは、せっかくの雰囲気も台無しです。
 っていうか、彼女さんもがっかりです。


 人間として、日々の生活を円滑に、有意義に過ごしていくために 必要なモノがあるとしたら、それは科学知識や中途半端な雑学な どではなく、一片のユーモアであって、ほんの少しのロマンであっ て、ちょっとした詩情であるような気がします。
 世の雑学の大半は、気の利いたユーモアほどの価値もないのです。

 アメリカ人のモテる条件の一つも、このユーモアのセンスらしいです ね。
 いわゆる「アメリカンジョーク」というヤツです
 映画の吹き替えなどでよく耳にするでしょう?

「なんで夕日って、あんなに綺麗なのかしら・・・?」

「さてね? ただ、僕のママより綺麗なのは確かだね」

 ・・・・!?

「あなたのお母さんって言えば、確か昨日大慌ててで走っているのを 見かけたけれど・・・」

「あぁありゃ、焼けた鉄板の上に自分が乗っかていたってことに 気がついちまっただけさ。いままでは幸運にも、それに気がついて なかったんだ」

 ・・・・・!!?

 日本語に吹き替えられたアメリカンジョークって、訳者が大まじめ に訳してると、異様に面白いときがありますよね。
 面白いというか、けったいというか。
 アメリカ人なら、僕らとは違う感覚で、そのジョークを受け取るの でしょうか・・・。
 謎です。


 まぁ、アメリカ人のことはともかくとして、神州日本の健全な大和男児と して、1個の益荒男(マスラオ)として、恥ずかしくない、かつ気の 利いた言葉を返したいものです。

「なんで夕日って、あんなに綺麗なのかしら・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(うわ! どうしよう、何か良い雰囲気になっちゃってるよ。困った な、こんな時何て答えたらいいか・・・たしか、あの雑誌に書い てあったハズだけど、・・・あぁ! 肝心なときに思い出せないよ!  なんてこった! この雰囲気を壊さないまま、何とか唇奪ってホテ ルにしけ込んじまいたいけど、・・・・うわぁ、見つめられてるよ!  ヤバイなぁ。早く何か気の利いたこと言わないと・・・あぁ、緊張 して来ちゃたよ・・・・サムイこと言ったら台無しになっちゃうし・・・ 困ったぞ・・・でももうそんなに・・・[以下略])

 ・・・・・最悪です。

H.13 8/11



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