口頭無形分化剤 その16


「闇」 −From Darkside−


 今日のは愚痴です。
 面白くないことうけあいなので、「人の愚痴なんか聞いてられるか!」って 方は、あらかじめご遠慮くださいませ。


 僕が「無明堂」を立ち上げて、ちょうど3ヵ月が過ぎようとしています。

 僕がこのサイトを創ろうと思ったのには、多くの理由があります。
 物書きとして、発表の場を持ちたかったことが1つ。
 見知らぬ人と触れ合い、刺激を受けたかったことが1つ。
 他人から、感想を聞きたかったのが1つ。
 現状を変えたかったことが1つ。
 そして−−−


 サイトを立ち上げた5月。
 僕は、心身ともに疲れ切っていました。
 人の命に関わることなので詳しくは書けませんが、本当に、賽の河原で 石を積むような毎日でした。
 山積していく借財、日1日と悪化してゆく状況。
 どれだけもがいても、僕自身では、何一つ変えらない現実。
 僕にできることは、ただその状況を甘受し、我慢し、耐えること だけでした。

 僕はあるときから、リアルの友人から遠ざかるようにしました。
 不幸が伝播する特性があることを知っていたからです。
 僕が地獄でのたうつのは、いわば僕の道楽です。
 投げ出す権利も逃げ出す自由も持ちながら、それをしないと決めたのは、 僕の我が儘に過ぎません。
 友人を巻き込むわけにはいかなかったのです。

 僕は1人になりました。
 僕がもともと持っていた「闇」が肥大化していきました。

 不思議なものです。
 そんなとき僕の口から漏れるのは、綺麗事ばかりでした。

 自分でも気がつかぬウチに、どうやら善人になっているのです。
 無論、その「善人である僕」も、僕の1部であることには違いが ないのですが、本来の僕は、どうもそうではありません。

 冷淡
 狡猾
 利己的
 刹那的
 快楽主義

 こういう単語が、僕を形創っている要素として、確実に存在して いたハズなのです。
 こういう自分を、僕は許容して生きてきたハズなのです。


 僕は「無明堂」を立ち上げました。
 それは、現実からの逃避をも、その大きな目的として内包していま した。

 けれどサイトを運営してみて、お客様が雑記帳を賑わせてくれるよう になると、その書き込みに、僕は「癒やし」を実感するようになって いました。

 「浄化」されていく感覚です。
 かなり長い間、忘れていた感覚です。

 僕はすこし混乱しました。

 もう何年も、切り捨ててきていたのです。
 自分をどこまでも硬質化する必要があったのです。
 「強く」−−「剛く」なければならなかったのです。

 ネットの世界の気楽さを、僕は「癒やしに使う」つもりでい たのです。
 「癒やしてもらう」つもりはなかったのです。

 言いようによっては、「嬉しい誤算」と言えなくもありません。
 それはそれで、僕はとても楽しかったのです。
 ところが、です。


 この1ヵ月、僕を取り巻く環境が、好転し始めています。

 銀行からの融資を得、サラ金生活から足を洗えました。
 もっとも問題だったことも安定し、好転の兆しさえうかがえるところ まで、どうにかもってこれました。
 もちろん予断を許せる状況ではありませんが、一時どうしようもなか った僕の生活が、ひどく安定してきているのです。

 文句を言うべきことではありません。
 何を愚痴る必要があるのでしょう。


 僕の「闇」です。

 状況が好転して、サイトの運営が楽しくなって、ヴァーチャルな 友人とも仲良くしていただいて−−

 僕の「闇」が悲鳴を上げています。


 非常に奇妙な感覚です。
 ここ最近の僕の言動は、だからたぶんおかしいのです。
 理性は活動しています。
 情緒もそこそこ安定しています。
 ただ「闇」が、なんだか混乱しているのです。

 僕は「闇」を肥大化することで、「自我」の強靱さに変えていた のです。
 いま、膨らんでいたそれが、縮まりつつあるのです。
 僕は「剛さ」を失おうとしているのです。


 このくだらない人生で、実感したことが1つだけあります。

 「優しさ」を産むのは、「剛さ」か「弱さ」かしかないということです。
 それ以外の「優しさ」は、どうやらすべて「嘘」なのです。

 「優しく」ありたければ、「剛く」あらねばなりません。
 「弱さ」に裏打ちされた「優しさ」は、僕は求めません。
 僕が「剛さ」を失うとき、僕は「優しさ」を失うでしょう。
 僕が吐いた「優しい」言葉は、すべて「嘘」に成り下がるでしょう。

 「闇」が必要です。

 覗き込んだ者の背筋が凍るほどの深く冥い淵。

 僕の「闇」が、悲鳴を上げています。

H.13 8/2


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