暑き砂の街のカルナバル
遠くたなびく異国の弦の調べ
薄布を纏った美しき踊り子の舞い
白き仮面に隠された 紅き血の涙
我に災いあれ! 少女は天に叫び
我が肉を喰らえ! 生け贄は神に訴える
雨の無い街のカルナバル
安らかな眠りのための宴
薄布越しに垣間見た エデンの園
喜びの楽園 享楽の箱庭
アダムは惰眠を貪り イヴは快楽に耽り
鳥たちは歌い 獣たちは謳う
幸いなるかな 堕落の園
人の希望が死に絶えたパラダイス
+ +
煙草の煙のように
消えてしまえばいい
待つことを 楽しめるのは
きっと 幸せな人だね
お日さまが とてもつよく輝いていました
お空が とてもたかく 澄んでいました
飛行機雲が 白く長く伸びていきます
蝉の声だけは
なぜか どこからも 聞こえてきませんでした
吹きすさぶ烈風!
叩きつける豪雨!
無明の暗夜 深き闇の咆吼!
闇! 闇! 闇!!
すべてを吹き飛ばすがいい!
すべてを壊し尽くすがいい!
どうしようもない 破壊の衝動
僕の中の嵐
+ +
嵐の後の空ってさ
なんであんなに澄んでるんだろうね
白銀に埋め尽くされた死の世界
荒涼たる 美しき原野
生をかたくなに拒む 凝結
再生を許さない 停止
静寂
そして あたたかい 闇
+ 生きた証 +
忘れられた爪痕
刻み込んだ歴史
取り残された記憶
そして ほんのすこしの骨
+ +
せめて夢で あなたに逢いたいと思うけれど
あなたの面影が どうしても思い出せません
肌を裂く烈風 縹渺と神韻を奏で
峨々たる峻峰に 雲海茫漠と鎮まる
洛日の霊光を浴びて そは暁瞬の画布となる
荒涼たる大地 神々の黄昏
+ +
俺をからかってるのか?
それとも本気なのか?
まずそれを教えてくれよ
+ のんだくれから一言 +
アルコールで癒やされる渇きは
ほんとの渇きではないらしい
+ +
向日葵を見るたび
なぜかあなたを思い出してしまいます
たとえば この世界で
僕のこの想いが 罪深いモノであるというのなら
僕は喜んで 罪人になろう
たとえば この世界で
僕のこの行為が 罪深いモノであるというのなら
僕は喜んで その罰を受けよう
この美しい花を手折ることが
この甘い果実に口づけることが
神が定めた罪であるというのなら
僕は神を呪い
その同じ言葉で あなたを祝福しよう
神は 僕を罰するがいい
僕を地獄に堕とすがいい
今日は一日中 あなたのコトを考えていました
おかげで何一つ 僕は産み出すことができませんでした
+ 淫乱女から一言 +
殺人者と芸能リポーターってさ
どっちが罪深い存在だろうね?
たとえば荒野 砂まじりの風が吹き抜ける廃墟
泉は涸れ 緑は枯れ
子供たちの声さえも 死に絶えた街
たとえば交差点 祝日の幸せに溢れる街角
女は笑い 子供は謳い
その中で 取り残されたように1人立つ あなた
+ +
こんなに あなたのことを 考えているのに
結局今日も ひとつも言葉にすることが できませんでした
+ 「嘘つき」から一言 +
僕の言葉は
すべてが嘘ですよ
「永遠」という 言葉の意味を 忘れたときから
僕はただの 墓守になりました
+ 鏡 +
あなたの何を怖れていたのでしょう?
あなたの何を解っていたのでしょう?
僕が見ていたと思っていたものは
あなたの姿ではなかったのですね
僕が知っていると思っていたものは
あなたの心ではなかったのですね
僕はあなたという鏡に映った
自分の姿に脅えていたたけだったのですね
+ 「怠け者」から一言 +
戦えよ
白き雲縦に伸び 晴天どこまでも高く
蝉の声かしましく 深緑目に痛し
涼風不意に来たりて 我が心を潤す
振り返り見ゆるは 懐かしき甍
+ 「賢者」から一言 +
努力を徒労に終わらせないコツは
機を見て動くことだよ
+ +
お願いがあります
僕と過ごす ほんの少しの時間だけでいい
あなたの中から
そいつを追い出してもらえませんか?
+ 「哲学者」から一言 +
簡単なことさ
アルコールに酔いたきゃ
胃袋を空にしておけば良い
+ 呪い +
この右手の剣で あなたを刺し貫いたら
僕はあなたの呪縛から 逃げることが出来るでしょうか?
あなたに繋がれた この鎖を断ち切ったら
僕はあなたの魅了から 醒めることができるでしょうか?
あなたはなぜそんなにも 落ち着いていられるのですか?
あなたはなぜいっこうに 逃れようとしないのですか?
あなたにとって それこそが 最期の魔法なのですか?
そうして 僕を永遠に 縛るつもりなのですか?
+ +
あなたに逢えなくなって ずいぶん時間が経ってしまいました
あなたにとても 逢いたいと思いますが
逢わない方が幸せなのかな、とも 僕は思うのです
僕の知らないあなたに逢うのが
僕はかなり怖いのです
+ +
とても綺麗な詩を読んで 少し泣きそうになりました
そうして僕はまた少し 自分が嫌いになりました
+ +
あなたの中に僕の場所を創ってくれとは言いません
たまに僕のところに 手ぶらで遊びに来てくれれば
それだけで 僕は十分幸せです
+ 駆け引き +
真剣を遣って 斬り結んではいるけれど
あなたも僕も ぜんぜん本気ではないようですね
どうします?
ここらで一度 命を懸けて 一太刀振るってみませんか?
+ 闇色の翼 +
僕が背負うのは 蝙蝠の翼
忌み嫌われる 闇色の翼
懸命にはばたいても 高みには昇れず
天使の翼の仲間にもなれず
さりとて飛ぶことを 捨てることもできず
僕はもがく
僕はあがく
夕闇の中を その無様な翼で
高みを目指し その醜い翼で
奇跡は起こるモンじゃねぇ
起こすモンだ
+ スプリンター +
1秒を 100の破片に切り分けて
そんな小さなものの 大小を競う
妥協を決して許さない その求道精神
人生の総てを燃焼させる そのストイックさ
あなたの躍動は 野生獣の美
あなたの咆吼は 魂の鳴動
あなたのその美しさは
見る者すべての魂を奪う
+ 依存 +
この「孤り」を癒やしてくれ
この「空虚」を埋めてくれ
ほら また月がのぼっちまった
この「寂しさ」を紛らわせてくれ
この「虚脱感」を消してくれ
ありゃ また夜があけちまった
薬が! 煙草が! 酒が! SEXが!
俺を助けてくれるってのかい?
催眠が! 洗脳が! 同化が! 宗教が!
俺を救ってくれるってのかい?
逃げ出したいんじゃないんだ ほっといてくれよ
忘れたいんじゃないんだ 解放してくれよ
いまの俺なら 死神にだってキスしちまうぜ
+ 声 +
君の声を運んでくれる この機械がなくなったら
僕は はたして 生きていられるだろうか・・・?
大地のような暖かさ
その揺るぎない包容力で あなたを包もう
大気のような存在感
その圧倒的な優しさで あなたを包もう
あなたは 楽しむためだけに産まれてきた妖精
幸せであることだけが あなたの義務
あなたはその世界で すべての幸せを手にすればいい
僕はあなたを 決してその檻から出さない
+ 「皮肉屋」から一言 +
慈愛も結構だがね
自愛も必要さね
+ 強化ガラス +
それはどんなに拳を叩きつけても決して割れない
けれどもそれは ほんの些細なことで粉々に砕ける
+ +
美しいものを見るのは 大好きです
ただそれに触るのは 苦手です
近づくだけでも 気後れです
己の醜さを 思い知らされるのです
+ 残 躯 +
愁雨嫋々 ただ盃を重ね
疲れ切った身体を その酔いに任す
甦りくるは つまらない思い出
ただ吸い殻の増えゆくのみ
+ +
僕のことを待っているかもしれない あなたを思うと
僕は とても せつない気持ちになります
バレるような嘘なら 吐いてはいけない
醒めるような魔法なら かけてはいけない
僕の手が あの高みに架かる虹を掴むことができたとしても
僕の手は あなたをすくい上げることはできないのだから
たとえ あなたが奈落へ堕ちながら 叫び続けていようとも
あなたは 本当は そこに留まっているだけなのだから
+ 「淋しがり屋」から一言 +
あなたに他意がないことくらいは
僕も知っているケドね・・・・
+ 純粋−子供であること− +
もう勘弁してくれよ
あんたの瞳は澄み過ぎて
あんたの眼差しはまっすぐ過ぎて
俺にはかなり痛いんだ
+ 「 ・・・・・・ 」 +
たとえばあなたが 僕のクチビルに
すこしだけ その吐息をくれたら
僕はそれだけで このさきずっと
弛むことなく 進んでゆける気がするよ
この世界の果てまで
この水平線の彼方まで
+ 自戒 ・ 2 +
演じることに 疲れた役者は
舞台から降りるがいい
満場の拍手で迎えられるだろう
去り際のわからない芸人の末路は
惨めなものとなるだろう
+ ホントウのアイ +
あなたを愛している僕は
笑っているあなたと同じくらい
泣いているあなたが好きなのです
+ 真・偽 +
嘘で いいのではないか
虚言しか ないのではないか
嘘のない 「真実の言葉」で
誰があなたを 救えるというのか
この現実に いかなる「優しさ」で
立ち向かえというのか
+ +
焦る必要なんてないさ
風向きなんてものは
ほっておいたって変わるんだ
雷雨落つ戦場に
死に絶えた「やさしさ」
朽ち枯れた大樹と
朽ち果てた骸
突き破られた抜け殻
伸びやかに広げられた翼
死と再生のイマージュ
新たなる「つよさ」の誕生
+ パントマイム +
今日久しぶりに 僕に会いました
彼はすこし疲れた顔をして いつものように笑っていました
「いい加減に休めよ」と 僕が言うと
「大きなお世話だ、バカ」と 彼は言いました