眩しいほどの十六夜の月が 皓々と世界を照らして
星を孕んだように瞬く あなたのたゆとう水面
生まれた姿のあなたに絡む 目には見えない荊の鎖
流れ出ては水面に溶ける 鏡には映らないあなたの血
けれどその蒼い水は 水晶のようにどこまでも透き通って
けれどその蒼い水は 月光のように清廉と澄み切って
疲れた旅人の喉を 優しく潤す
痛んだ者の傷を 静かに癒やす
汲めど尽きないその水は 言葉にならないあなたの涙
決して渇れることのない 言葉にできないあなたの想い
あんたのは ずいぶん安いプライドだねぇ
+ 戻らない「時」 +
僕が迷い込んだ霧の中は
おそろしく奥が深くて
どこを歩いてるのかも知らない僕は
随分と堂々巡りをしていたらしい
時間が 経ちすぎてしまっただろうか
世界が 変わってしまったのだろうか
帰り着いた僕が見たものは
決して見たくない現実だった
あれだけ お願いしておいたんだけどな
「 そこに いて 」
「 どこにも いかないで 」
僕は“神”ですからね
+ 失われたもの +
この荒野をもたらした あの遠い昔の戦い
この世から たくさんのものがなくなった
獣は森を失い
鳥は空を失い
魚は海を失い
人は心を失った
+ +
疲れ果て 眠り込んだあなたの
その頬に 優しく口づけよう
毛布を掛け 音楽を消したら
その寝顔を そっと見つめよう
この幸福な時間を
この安らぎの時間を
きっと あなたは
知りはしないだろうけれど
困るのは
あなたといると 時間が駆け足です
どこまでも続く闇 永遠の孤独の中を
限りなく続く静寂 無限のせつなさの中を
僕は走り続ける
ただ己の 鼓動だけを聞いて
この果てしない無明の果てに
この大いなる虚無の向こうに
僕が目指す場所があるから
僕が決めた僕がいるから
それがまぼろしと 知っていても
僕はただ 走り続ける
+ +
星の示す方へ 月の声を聞いて
あなたがシアワセを追求し始めたときから
あなたの不幸は始まったのです
+ +
あなたが何を考えているのか
僕には もうわからない
嬉しそうなあなたを見て 僕は癒やされます
楽しそうなあなたを見て 僕は救われます
この眩しすぎる月に誓う